チームコーチの重要性をティール組織の事例から紐解く 

【前編】リモートワーク時代における未来の組織開発 〜ティール組織から紐解くチームコーチの重要性〜

CRR Global Japanでは、2020年8月7日に『ティール組織』の解説者、嘉村賢州さんをゲストに迎え、『リモートワーク時代における未来の組織開発 〜ティール組織から紐解くチームコーチの重要性〜』と題したオンライントークイベントを開催しました。対話者は、CRR Global Japanの原田直和と島崎湖が担当。今回は、トークセッションのポイントを整理して編集したものを記事としてお届けします。

対話者:
・嘉村賢州:東京工業大学リーダーシップ教育院特任准教授/
「ティール組織(英治出版)」解説者
・島崎湖:CRR Global Japan 合同会社 共同代表/ファカルティー
・原田直和:CRR Global Japan 合同会社 共同代表/ファカルティー

原田:CRR Global Japanの原田と申します。嘉村さんとは一年前のちょうど同じ頃に、『ティールとORSC®︎』というテーマで勉強会を開かせていただきました。もともとこの3人は2016年に米国サンフランシスコに一緒に行った際、賢州さんとティールについてすごく熱く語っていた経緯があって、昨年のイベントに結びついたんですね。

島崎:CRR Global Japanの島崎と申します。そうですね。昨年のイベントを実施した際に、お互い扱ってる分野や得意とするツールは違うけれど、根っ子の部分で共通するものがかなり重なっているという感覚を得ました。

嘉村:東京工業大学リーダーシップ教育院の嘉村賢州と申します。僕の方も『ティール組織』が発売されて広がっていく中で、大学の教員の活動がメインなので、自分自身がティールについてファシリテーションする時間があまり取れなくなっていました。そこで仲間を増やしたいと思ったとき、システムコーチのみなさんの描いている世界観は、ティールの世界観と近そうだし、何か共有できればと思い、今回、改めて声をかけさせていただきました。

リモートワークとチームコーチ

原田:新型コロナ感染症により、企業がリモートワークに切り替わっていく中で、チームや組織というものが大きくクローズアップされ、いろんな問題も明らかになってきました。そこで今回の『リモートワーク時代における未来の組織開発』というテーマに至りました。

最近、中田敦彦さんのYouTubeの中で、これからは「イレギュラー」で対応していたことが「レギュラー」になっていく状態だと解説されていて、その通りだなと思いました。このイベントも従来ならオフラインで実施していたものが、イレギュラー的にオンラインになったわけです。
そう考えると、このオンライン化がだんだん当たり前になって「レギュラー」になった場合、組織としては、一度も会ったことないメンバーでチームをつくったり、リモートでメンバーの合意を得ながら作業を一緒に進めていく必要性が出てくるわけです。

その場合、オンラインでどうやってチームを運営していくのかについて、考えなければいけない課題が出てきそうです。それは、チーム内でどうやって情報や個人のナレッジ(知恵)を共有していくかということです。

一橋大学名誉教の野中郁次郎さんが提唱したナレッジ・マネジメントの枠組みに、SECIモデルというものがあります。チームの個人が持つ「暗黙知」を、「共同化」(Socialization)、「表出化」(Externalization)、「連結化」(Combination)、「内面化」(Internalization)というプロセスを経ることで、組織やチームの共有の知識「形式知」に変換させるというモデルです。

リモートワークになる前から、数字のマネジメントから部下の行動管理や育成など、そもそもリーダーが一人で抱える責任が重すぎるのではないかという疑問がありましたが、対面で体感的にこの暗黙知と形式知の交換を行うことで、何とかカバーしていました。しかし、リモートワーク化が進む中、チームでの暗黙知情報の共有が難しくなっているのではないか。さらに中間管理職などのマネジメント層に負荷がかかっているのではないか。そうしたオンラインでのチームの問題や暗黙知を、表出して見える化するためには、第三者の存在(チームコーチ)が有用なんじゃないか、という発想が今回のイベントテーマのきっかけです。

島崎:多くのリーダーの環境が、チームコーチの必要性と紐づく感じがしています。今までリーダーが一人でチームをまとめて、成果を出すことに全て責任を背負ってきた状況が、リモートとなってよりその役割が複雑化して、これ以上は対応が不可能になってきている。そんな中で、リーダーの負担を減らして本来の役割を発揮できるようにするために、組織の形態にも変化が求められているのではないでしょうか。

今回のイベントに参加してくれているみなさんも、このリーダーとチームの関係性の変化にアンテナを立てていらっしゃるのではないでしょうか。そうしたことから、未来の組織形態「ティール組織」という観点から掘り下げてみようという企画です。

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