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ORSat 20.05.08

心地よい家族関係とは / 新型コロナの影響と家族システム

“家族の関係性”が語られない現実

「関係性システム」というと、組織、チームに意識が向かいがちではないでしょうか。また、仕事、組織という文脈においては、「家族関係」について語られないことの方が、普通だったりはしないでしょうか。緊急事態宣言が発令されて以来、在宅ワーク、学校や保育園の休校、休園で、普段それぞれの場所で過ごしていた家族が家に居ることで、様々な揺らぎが、みなさんの中に起きてはいませんか。

危機、緊急時といったストレスが高まる時、身近でもっとも小さな単位である「家族」がそれを受け止めて、色々なことが起きるのは、むしろ当然のこと。だからこそ「家族関係=家族システム」について語る時間を持ちました。「家族システム」に熱のあるCRRGJの森川、土屋の二人をホストに、トレーナーたちも加わり、国内外の様々な場所から、想像以上に多くの「家族」に願いのあるみなさんにご参加いただきました。

システムコーチング(ORSC)の一端をご紹介しつつ、2020年4月9日に行われた対話会の様子をご報告します。

森川有理(ゆり)・土屋志帆(しほ)

家族関係についてのダイアログに向けて

きっかけは、チームミーティング

日々新型コロナウイルスの影響が強まるにつれ、「最近、家族といる時間が増えたね」「いつもとちょっと変わるね」と交わされるCRRGJミーティングでの会話が、今回の企画のはじまりです。冒頭でも触れたように、普段、会社や仕事の場面で「家族」について話す機会は少ない一方で、リモートワークや休園、休校によって当たり前にあった場所が環境の変化にさらされ、影響を受けている。ならば「家族システム」をテーマに、みんなで語ろうという主旨です。

明確なことは分からず、決まらず、地域によって対応にばらつきがある中で、会社の業務、学校での学業など、外で満たされていた様々な機能が、家庭の中に流れ込んでいます。それを必死に受け止めて「家族」という一番足元にある小さな単位に、大きな負担がかかっています。環境の変化、緊急事態から生じるフラストレーションを引き金に、様々なことが起きるのはむしろ自然な流れです。今回の新型コロナウイルスに限らず2011年の3.11の時もそうだったと言えるでしょう。

「家族システム」とは、ひとつのエコシステムのようなもの

システムコーチングでは、複数の人たちによって成り立っている関係性そのものを、ひとつの有機体「関係性システム」と捉えて関わります。家族を見てみると、つい「私が」「夫が」「子どもが」と個々の人たちの顔を思い描きがちですが、この個別の見方をいったん脇に置き、影響を与え合うエコシステムのような「ひとつの存在」として捉え、その「システム」の状態にフォーカスします。

ひとつの生命体として家族全体に目を向け、「健康状態はどうだろう」「ハッピーかな」「ちょっと疲れているかな」。あるいは、このシステムは「何かぐらぐらしているな」「相変わらず淡々と前に進んでいるな」といったようにです。ただし、個々の一人ひとりが大事であることは変わりません。まずは「あなたの内側に何が起きているか」がすべてのスタートです。

関係性における役割、「外的役割」と「内的役割」

システムコーチングでは、システムには役割があると考え、その役割を「外的役割」「内的役割」「秘密の役割」「ゴーストの役割」の4つに分類して捉えます。これら4つは常に連続して動いていますが、今回は、システムの中で機能を果たしている「外的役割」と、感情的な部分を担う「内的役割」を中心に見ていきます。

家族システムにおける「外的役割」「内的役割」は、次のように考えることができます。

〈外的役割〉(機能)
ごはんを作る。洗濯をする。掃除をする。新しいことを提案する。

〈内的役割〉(感情)
怒る。憤る。笑顔を振りまく。(新しいことを提案するために)一歩踏み込む。

ご自身は普段、どのような役割を持っていますか。そして、それをしているとどんな気持ちになるでしょうか。

前述の役割の例は、CRRGJトレーナー自身の家族システムの中での役割です。新型コロナウイルスの影響で家族が家に揃うことで、ふと自分だけが家事をしていることに気づき、疑問と憤りが湧いてきた…。生じたストレスはシステムに不和を起こし兼ねません。そこで家族会議の下、夕食の支度を当番制にすることにしました。外的役割を家族のメンバーで分け合うことでシステム全体のバランスを調整することにしたのです。

こうした役割の一方で、ほかの家族メンバーには次のような役割があったかもしれません。

〈外的役割〉(機能)
ゴミを出す。子どもを保育園に送る。何もしない。テレビを見る。学校や職場の話題を持ち込む。

〈内的役割〉(感情)
適当にやる。怒られる。愚痴をきく。逆ギレする。部屋に閉じこもる。

外的役割・内的役割について

みなさんの「家族システム」にはどんな役割があり、それを誰が担っているでしょうか。システム全体を見てみると、どうでしょう。
どんな願いに気づくでしょうか。後編は関係性システムへの視点を深めるヒントとともに実際の対話をご紹介します。


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<参加者とのダイアログ>

関係性における役割という視点を持つと、様々な機能が様々な感情を伴って動いていることがより際立って現れてきます。さらにその他の役割の存在も見えてきます。家族システムについて、また、新型コロナウイルスの影響で増幅された役割、居場所を失った役割について語りあいました。対話してみての一部をご紹介します。

参加者:対話を通して、どうしたらもっと家族として機能すればいいのかを節目節目で話し合っていくのがよいのでは、という気づきをもらいました。子どもがいる家庭では、決めたわけではないけど、子どもに関わることはおのずと女性がやっているというケースがとても多いです。家族というシステムがうまく回るためには、もしかしたら妻である私が今担当している役割のいくつかは、夫がやったほうがいいかもしれない。役割の見直しを提案していただいて、もっともだと思う反面、夫は出張が多く帰宅も遅かったりして、家にいないことがほとんどです。物理的になかなか関われないというのも、まだまだ働きすぎの日本社会の問題点なのかなということにも気づきました。

しほ、ゆり:そうですよね。今朝、小学校の「旗ふり当番」だったのですが、いつもくるのは母親ばかり。父親が来ないことが当たり前みたいな世界があります。

逆に男性からすると「だからこそ、行きにくい」ところがあって、行きたい気持ちはあってもその役割をとりづらいという声もありそうです。

関係性における役割を考えるとき、「夫」「妻」「子ども」だからと、または「男性」「女性」という性別によって無自覚的に引き受けられていることにも気づくことでしょう。システムコーチングではこれを「ゴーストの役割」と読んでいます。この役割が自覚された時、その役割が役に立っていれば続ければいいし、そうでなければ、話し合ってその分配を変えることも可能になります。

参加者:「旗ふり当番」で思ったのですが、自分は夫として、父親として、仕事を頑張るし、家事もやる。そうすることで女性の社会進出を支えている。そんな自分は「頑張っている」と思ってやってきました。自分は「仕事も家事もやってるんだから、お前(妻)も頑張れ」と。ただ、「理解ある男性」像、その役割をとり続けているのに疲れていることに気づきました。(システムの願いとしては)ちょっと違うな…ということは感じていましたが。頑張らない方向で行きたいと思いました。

しほ、ゆり:システムの状態にいいも悪いもありません。個々のシステムにとって心地のよい、無理のないシステムに変化できればいいのです。暮らす地域によって「当たり前」は変わりますし、家族を取り巻く環境やライフステージによっても「普通」は変わることでしょう。

参加者:今まで「学校に行かなきゃいけない」「仕事に行かなきゃいけない」と、全てが時間で区切られて、スケジュールが決まっていたわけですよね。そこで役割もある程度決まっていました。それが、スケジュールが流動的になり、役割が流動的になり、決まっていたものが流動的になりはじめているという感じがします。みんなでごはんを食べるという常識が、かつて住んでいたインドネシアの常識ではなかったことを思い出します。それぞれの家族の中で一番心地よく、うまくいくやり方を模索しているところなのかなと思いました。

参加者:心地いいスタイルって、実はそれぞれの家族によってまったく違いますよね。まったく違ってよくて、その役割を誰が担おうと、実はそれも家族の中で決められるのですよね。

しほ、ゆり:このコロナのとても特殊なタイミング、本当に何がよくて何が悪いかなんて誰にも分りません。でも、この当たり前が当たり前でなくなっているタイミングを、みなさんの家族システムが心地いいと感じられる。大事な一人ひとりが、居場所があって、役割があると感じられる。そういう関係性にする機会にしていっていただけたらいいなと、お話を聞いていて思いました。

システムにある役割、それぞれが果たしている機能、感情、影響に気づいたとしたら、あとは願う家族のかたちに向けて行動に移すことです。それは、ありがとうと感謝の言葉を伝えることかもしれませんし、沢山笑うことかもしれません。少しの勇気を出してうまく行っていない事柄について家族と話し合うことかもしれません。小さな一歩で構いません。願う家族システムに向けて行動を起こしてみてください。

〈参加者のみなさんの一歩(抜粋)〉

・ありがとうをいう

・感謝の気持ちを伝える

・自分が上機嫌でいること。

・自分の考えを押し付けないこと

・それぞれが好きな食事を作る(みんな好きなものが違う^^)

・素直にいつも恥ずかしくて伝えられないことも、声に出してみる

感情に気づいて言葉にすると楽になります。システムという視点を持つと選択肢の幅が広がります。CRRGJでは、これからも対話の場を持ちたいと考えています。


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※この企画の収益は、新型コロナウィルスの影響を受けた
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イベントの詳細については下記のページへ
https://ww.crrglobaljapan.com/event/ws001/


  • 森川有理

    • 森川 有理
    • CRR Global Japan合同会社トレーナー
    • ORSCC, PCC, CPCC

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    国際基督教大学教養学部卒業、カリフォルニア大学サンタバーバラ校アジア太平洋研究修士課程修了。
    株式会社 三和総合研究所 研究員、株式会社リクルート シニアコンサルタントを経て独立。
    2004ー2012年コーチングトレーニング機関であるCTIジャパンのトレーナーとして、コーアクティブ・コーチングの普及に尽力する。
    2008年世界初ORSCCの認定を受け、翌年 株式会社CRRジャパンを立ち上げる。
    個人や組織へのコーチングを通じて、人の多様性が活かされる組織風土への改革、上意下達の組織から自律自走する組織への変容、クリエイティブなチームづくり、M&A後の経営統合、リーダーシップの開花などを支援。国際NGOの文化社会的な複雑性の高いプロジェクトにシステムコーチとして参画している。
    プライベートでは、夫とともに一般社団法人むすび芽を設立し、夫婦の関係性を応援するコーチングやワークショップを提供している。
    【訳書】「コーチング・バイブル」(東洋経済新報社、2002年)共訳
  • 土屋志帆

    • 土屋 志帆
    • CRR Global Japan合同会社トレーナー
    • ORSCC, PCC, CPCC

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    青山学院大学法学部卒業後、リクルートグループにて法人営業・マネジメントを経験後、人材紹介業を経験。その後コーアクティブ・コーチングに出会う。
    2013年CPCCを取得後は、人事・教育研修業務の傍ら、プロコーチとしてパラレルキャリアを開始。
    自ら新しい働き方を実践。その後、コーアクティブリーダーシップとシステムコーチングに出会い、関係性の質を醸成することが、結果に影響を及ぼすことを体感し、2017年に株式会社Co-leadersを設立。個人の変容を支援するコーチングやエグゼクティブ・コーチングのみならず、最近では「ティール型組織・自己組織化組織」など新たな組織の形を模索する、企業組織やNPO、スタートアップ企業に対してシステムコーチングや組織開発、リーダーシップ育成に携わっている。一方、家族関係についてもテーマを置き、自らの経験から血の繋がらない家族(ステップファミリー)や多様な家族のあり方を支援をしている。2018年PCCを取得。
    多様性社会の中で誰もが自分らしくイキイキと生き、職場や家族など大切な関係性の中でありのままでパワフルに活躍できる社会を願っている。

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