ORSCafe 20.06.19
リモートワークからのチーム作りVol.1

目次
〜CRR Global Japanの組織運営体験談〜
「チェックイン」①
緊急事態宣言を機会に多くの組織がリモートワークへの変更を余儀なくされました。オンラインでのコミュニケーションが思ったよりも機能していると感じる一方で、何気ない雑談が仕事の状況はもちろん、お互いの状況を知りあう貴重な「間」だったり、直接顔をあわせることで相手からもらっていた刺激やエネルギーに気づかれている方も多いのではないでしょうか。
リモートワークは、この後も引き続き私たちの働き方に影響を与える可能性がある今、「チームにとって、より仕事のしやすい環境を作りだすためには何が必要なのか」をCRR Global Japanの完全リモートでの合同会社運営、かつチームをシステムと見立てて作っていくことを提唱している立場としての経験値から整理してみました。
もちろん、ここに書かれていることが唯一無二の正解とは思っていません。我々自身も未だ実験中であり、全ての組織/チームに当てはまるものではないとも思っています。それでも、皆さんのチーム作りに何か1つでもヒントになれば幸いです。
私たちの組織体制について
そもそもの、私たちの組織運営の背景からご紹介しましょう。
・トレーナー、オペレーションの12名で運営。全員リモートワーク
(そのうち1人はフランスから参画)。
・そのうち8名が代表の共同代表制で、かつプロジェクト単位での運営。
ただし、全体の調整役を担ってくれるアライメントチームが存在している。
・プロジェクトはその都度必要なものが立ち上がり、プロジェクト同士も連携しながら進んでいる。
・プロジェクトを通しての役割はそれぞれあるが、役職はないフラットな組織である。
・月1回の対面、およびオンラインでのミーティングを実施
(現在対面でのミーティングは中止。全てオンラインにて実施)。
こうした中、起こりやすい問題としては、
・共同代表ということもあり、みんなの合意で進める方針のため物事を決めるまで時間がかかる。
・意識的に声を掛けあわないと、お互いの状態(事柄、気持ち、共に)分からない状況が起こりやすい。
といったことが挙げられます。
もちろん、ITの力(slack、Googleドキュメント、zoomなど)を借りて、常に情報は共有していて、プロジェクト単位で必要に応じてミーティングをしている前提ではありますが、リモートだからこそ、より意識して取り組んでいること、育んでいるカルチャーをご紹介します。

「チェックイン」という仕組み
今回は「チェックイン」という仕組みについてお話します。これはその名前の通り、ホテルにチェックインするかのように、ミーティングを始めるにあたり、体だけでなく気持ちもその場に持ち込み、その場により集中できるようにする、チームにつながる儀式のようなものです。
具体的には、毎回オンラインでも対面であってもミーティングの冒頭で、全員一言づつ、
「今、何が日々の生活の中で起きているのか?」
(CRRGJ式「チェックイン」)
を短く共有するところから始めます。
そこでは、こんなプログラムに参加していると最近始めた学びについて話をしてくれる人もいれば、飼っている猫の話をする人、家族の中で起きていることなど、話題はとても幅広いです。そして、ここでは同時に「起きていることについてどう感じているのか」も語られています。
では、これらを聞きあうことで、組織運営にどんな影響があるのでしょう。
・話を聞く側からすると、相手の今いる場所が分かり、その人のその後の態度や発言もより理解しやすくなる。
・話す側からすると、全く違う環境・状況からミーティングの場に参加するにあたり、徐々に自分自身をその場/チームに集中できるよう調節していくことができる。

まずはなんと言っても、相手の今いる場所が事柄的にも気持ち的にも知ることができるので、その人がその日、または後日語ることが受け取りやすくなります。
(後半に続きます)
リモートワークからのチーム作りvol.2
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- 島崎 湖
- CRR Global Japan合同会社トレーナー
- ORSCC, PCC, CPCC
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大学を卒業後、玩具メーカーの株式会社タカラ(現:株式会社タカラトミー)に入社。採用・研修を中心とした人事業務全般及び人事制度改革に従事。その間、「コーチング」に出会い、企業内コーチとしての活動を開始。 2004年よりプロコーチとして独立。エグゼクティブから主婦、オリンピック選手など様々な方に向けてのコーチングを実施。また、組織向けにはコーチング研修及びリーダーシップ研修にも積極的に取り組む。(ISLコーチングファカルティ) 2010年、ORSCCを取得し、企業やNPO、地域のコミュニティ等に対して本格的に開始。主に、メーカー、製薬会社、NPOに向けて組織風土改革をテーマに取り組む。変化の激しいこの時代のチェンジメーカーとなるリーダーや組織をエンパワーし続けている。 一方で、仏教およびシステム理論学者のJoanna Macy氏が提唱している「つながりを取り戻すワーク」に感銘を受ける。 その叡智をORSCに取り入れながら、個人・組織・社会をつなぎ、生命体としての「システム」の目線を育てることからの組織/コミュニティ開発を展開。近年、SDGsで取り上げられているような社会課題に関連する様々なテーマに対して、これまで培った経験をもとにセッションを開始。