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ORSCLabo 20.04.24

今こそ「関係性」からはじめよう

ORSCLabo:今こそ関係性からはじめよう

ORSC Labo(オースク ラボ)スタートに寄せて

CRR Global Japan 共同代表 森川有理

このたびCRRグローバルジャパンはORSC Laboを本ウェブサイトにスタートさせることになりました。ORSC(組織と関係性のためのシステムコーチング)を伝える役割を担う9人のファカルティが、システムコーチングの世界観、概念、ツールなどをご紹介しながら、現場での事例を交えて「社会の今」を紐解いていこうという試みです。

この文章を書いている今、日本では新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が全国レベルに引き上げられました。報道においては世界の感染者263.7万人、死者数18.3万人(2020年4月24日現在)を超えたとの数字が踊り、人の生死が数字に置きかわり、夥しい数の人々の尊い生活と人生が揺らいでいます。目の前の人を救うために、命がけで治療に当たる医療従事者の方々の献身的な努力に、心からの感謝と尊敬の気持ちを送ります。

大切な人を失ったご家族の嘆き、生活そのものが根底から脅かされている人々の苦悩は、いつでも自分の日常になり得る生々しい現実としてここにあります。一方で、人間が環境に慣れていく力は想像以上で、一度「Stay Home」が当たり前になると、コロナウィルスの存在だけでなく、医療崩壊や経済的困窮の危機すらも、どこか他人事に感じられてしまうのも事実です。自分と身内の安全や、目の前の生活のみに関心が集中し、次第に社会や世界の動きに鈍感になっていく自分にも気づきます。

孤立や分断は、こんな風に私たちの無関心から静かに広がっていきます。地球上の誰も経験したことのない、この非常事態を世界人類が同時に経験している今、私たちは何を信じ、何を軸とし、何を選択していけば良いのでしょう。個人、家庭、地域、組織、国家、世界のあらゆるレベルで、一人ひとりの生き方が問われています。

そしてここに、「今こそ関係性からはじめよう」とお伝えしたいです。人間は社会的な生き物です。私たちは、共に暮らす人、共に働く人、共に生きる人たちと安心と信頼関係で結ばれている時に、もっとも幸せを感じ、自分らしく力を発揮します。身近な例をとってみましょう。

CRR Global Japan 森川有理

たとえば、あなたの家庭では、それぞれの家族の状況を理解して、お互いの気持ちを思いやり、暖かい声を掛け合い、役割を分担して家事をこなし、部屋を譲り合ってみんなの居場所をつくり、一緒に過ごす時間を笑顔で楽しめていたら、どうでしょう。将来この経験は、家族にとってかけがえのない思い出となることでしょう。

職場を例にとると、あなたのチームがリモートワークを機に関係性を整え、お互いの生活環境を理解し合い、共通の目標を共有し、それぞれが自分の役割を担いながらも、必要な時は助けを求めることができ、働く場所は離れていても、チームの一員として安心して仕事を進められたとしたら、どうでしょう。晴れて職場で顔を合わせることができた時、以前よりもずっと柔軟で、頼れるチームに成長しているのではないでしょうか。

一方で、関係性に無自覚でいると負のスパイラルに落ちていきます。もし、家族の関係性がギスギスし、それぞれに対して無関心、負の感情をぶつけ合い、相手を傷つけるような言葉を投げ合っていたとしたら、同じ空間で顔を合わせることすら苦痛、しまいには家庭内暴力や心を病むことにもなり兼ねません。

また、リモートワークでは、オンライン会議はいつもの会議室の様子が増幅され、リーダーが一方的に話すも他の参加者からの発言はほとんどなし、非生産的な会議が一日に何本も続き、パソコンの前に座りっぱなしの身体は痛み、気分も鬱々。不安と孤独感は増加し、チームメンバーへの関心やモチベーション、さらには生産性が下がるだけでなく、チームそのものが崩壊し兼ねません。

このように、関係性は目には見えないけれど、私たちの人生の質に大きな影響を及ぼします。では、何をどうすれば良いのでしょうか。それはとてもシンプルです。まず、少し意識の距離をとって、今関係性がどうなっているか、その健康状態はどうかに気づいてください。次に、相手へ関心を持ち、思いやりと共感を広げてみます。そして、ちょっと勇気を出して声を掛け、必要があれば手を差し伸べてください。

普段、スピードに追われた日常を過ごしている時には、なかなかこの当たり前のことに向き合うのは難しいものです。だからこそ、世の中の当たり前が変わろうとしている、今が好機なのです。かつてのイギリスの首相ウィンストン・チャーチルは“Never waste a good crises”(「危機は好機、決して無駄にはするな」)と言いました。世界が揺れて先が見えないこんな時こそ、本質的な変容のチャンスです。

関係性システムの輪

 (参考:ジョアンナ・メイシー「アクティブ・ホープ」)

CRRグローバルジャパンも、このタイミングを決して無駄にすることなく、私たちのミッションである「関係性システムを健全で豊かにすることで、幸せな社会創りに貢献していく」ことに、さらに夢中になって進みます。その覚悟とお約束として、ORSC Laboをここにスタートさせます。具体的には、様々な関係性システムを切り口に(「関係性システムの輪」参照)、チーム・組織、夫婦家族、地域コミュニティ、自然・地球、そして、自分自身の内的なシステムのテーマを題材とし、ファカルティが見立て、支援のアプローチ、ツール・スキルの解説をします。

皆様からの率直なフィードバックをいただきながら、私たちも共に未来を創る一員として歩んでいきたいと心から願っています。これからのORSC Laboをどうぞお楽しみに!

(次回のORSC Laboは5月上〜中旬発信予定)

  • 森川有理

    • 森川 有理
    • CRR Global Japan合同会社トレーナー
    • ORSCC, PCC, CPCC

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    国際基督教大学教養学部卒業、カリフォルニア大学サンタバーバラ校アジア太平洋研究修士課程修了。
    株式会社 三和総合研究所 研究員、株式会社リクルート シニアコンサルタントを経て独立。
    2004ー2012年コーチングトレーニング機関であるCTIジャパンのトレーナーとして、コーアクティブ・コーチングの普及に尽力する。
    2008年世界初ORSCCの認定を受け、翌年 株式会社CRRジャパンを立ち上げる。
    個人や組織へのコーチングを通じて、人の多様性が活かされる組織風土への改革、上意下達の組織から自律自走する組織への変容、クリエイティブなチームづくり、M&A後の経営統合、リーダーシップの開花などを支援。国際NGOの文化社会的な複雑性の高いプロジェクトにシステムコーチとして参画している。
    プライベートでは、夫とともに一般社団法人むすび芽を設立し、夫婦の関係性を応援するコーチングやワークショップを提供している。
    【訳書】「コーチング・バイブル」(東洋経済新報社、2002年)共訳

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