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ORSCLabo 20.06.12

「家族のあり方」が問われているwithコロナ時代 〜3つの現実レベルから見た現代の家族〜

CRRグローバルジャパンの9人のファカルティが、システムコーチングの世界観、概念、ツールなどをご紹介しながら、現場での事例を交えて「社会の今」を紐解いていこうという試みの第3回目は、プロフェッショナル実践コースのファカルティのしほこと、土屋志帆が担当します。「『家族のあり方が』が問われているwithコロナ時代」と題して、一番身近で一番難しいと言われている家族や夫婦関係に焦点をあてて、一緒に考えてみたいと思います。

CRR Global Japanでは最近「家族」がテーマのイベントをよく開催させていただいております。私はその企画者でもありますが、何故そんなにも今「家族システム」について発信をしているのかということを少しお伝えしてみたいと思います。

なぜ、今、家族システムなのか。

6月に入り、急事態宣言が全国で解除され、学校も再開し、いよいよ「新しい生活様式」の時代に突入する最中にいます。それは今までは”自粛要請・一斉休校”という形で政府が決定してくれていた様々な物事を、これからは「何が正解か分からない中で、自分で決めていかなければならない」という、正解のない時代に入ったとも言えるのではないでしょうか?

見えない未来に対して、ポジティブな見方もあれば、一体どうなってしまうのだろう?という不安は誰にでも伴います。

家族の定義は実に様々です。家に子供がいるファミリー、夫婦2人という関係性もあれば、一人暮らしの方もいると思いますし、一緒には住んでいない親や親族も含め家族です。最近では血の繋がりはないステップファミリーも増えていると思います。ペットだって立派な家族、事実婚なども含めて家族であるとも言えます。そういう意味では、本当に家族の定義は人それぞれなのです。

平常時では、家族というものは日常であり、何も意識もしないものだと思います。しかし、社会にとってこれだけ大きな揺らぎが起きている今では、新型コロナウイルスの影響を受けない人は誰一人いません。個々人の内側でも大きな揺らぎが起こっているものの、それは目では見えないため、コミュニケーションが難しくなるケースもあります。

「家事分担」「経済的なこと」「仕事のこと」等どれをとっても家族は影響を受ける運命共同体。だからこそ、その中で意見が割れ、口論になるなんてことはなかったでしょうか?

誰しもの内側に不安がある時は、心に余裕がなくなり、自分と違う他人とぶつかってしまうこともあるでしょうし、遠慮がないのも家族の特徴的なところかもしれません。フラストレーションが少しずつ蓄積していくものだとも思うのです。同時に、家族の中のことはあまり外にでないので、内側に籠もってしまいやすい性質も持っています。

だからこそ余計に、家族という基盤が安心安全な場になるのか、ギクシャクして居心地の悪い場所になるのかが、これからの生活に大きく影響してくるのではないかと思います。

そんな時にこそ、“「家族」を一つの生き物(システム)として観てみる“ということがその一助になれば幸いです。

少しだけ自分から離れて、「家族」というシステムを俯瞰してみてみると、どんな発見があるでしょう。何故食い違っているのか、何は共通なのか、そんな観点からシステムコーチングの中の1つのツールや考え方を例にご紹介してみたいと思います。

家族・夫婦は違う次元(レベル)で会話をしている

心理学者でもあり物理学者であるアーノルド・ミンデル氏が「プロセス思考心理学」という中で、3つの現実レベルを提唱されています。

この3つの現実レベルというのは

合意的現実レベル:
誰もが合意できる事柄・時間・お金などの事実で可視化できるもの

ドリーミングレベル:
個々人の内側にある想い、願い、感情、葛藤、動機など目に見えないもの

エッセンスレベル:
ひらめきや直感、個々人を超えた人類共通の真理、普遍的な本質、ワンネスの世界

などを指しています。我々は3つの現実レベルを同時に生きているとも言われます。

例えば夫婦の中で、「今日はどっちが子供の課題をみる?」「リモート会議は何時に終わる?」など合意的現実レベルの会話は比較的行われがちです。一方で、妻が「子供がお友達のお家に遊びに行きたいというんだけど、感染リスクを考えたら行かせない方がいいかな、でもお友達に会いたいだろうしね、、」とドリーミングレベルを夫に共有した時に、夫が「子供に決めさせればいいんじゃない?」と合意的現実レベルで課題解決の案を出し、なんだかなぁ、解決したいというよりも、この葛藤を共有したかっただけなのに、いやそうじゃなくて、、モヤモヤ、、、噛み合っていない、、、というようなことはよく起こりませんか?

大丈夫です(笑)どこの家庭でも起こっています。

システムコーチとして見立ててみると、このご夫婦は合意的現実レベルの会話は日常的に使っており得意だけれど、ドリーミングレベルの会話をすることが聴くことも話すことも苦手なシステムなのかなと考えます。そしてこのご夫婦はドリーミングレベルやエッセンスレベルがうまく共有されていないことでフラストレーションが溜まっているようにも見えます。

そこで我々システムコーチが夫婦の対話をサポートさせて頂く時には、意識的にその3つの現実レベルそれぞれに働きかけにいきます。例えば、「どっちが子供の課題をみる?」と聞いた背景には、どんな意図があってそう言ったのでしょうか?そう言われて、どんな気持ちがしたのでしょうか?それがドリーミングレベルに働きかけるということです。

その感覚を直感で色や比喩で表現してもらうと体感覚としてシステムで共有できます。それがエッセンスレベルに働きかけるということになります。個々人ではなく、ご夫婦というシステムが、日常的に使っているレベルは何で、よりストレッチなレベルは何か、そこに意識を向けて意識的に関わっていくのもシステムコーチの役割です。

ご夫婦のシステムコーチングセッション

私がご夫婦のセッションの中でよく使う1つのツールの中で、今回は「ランズ・ワーク®」というツールをご紹介したいと思います。これは正に、3つの現実レベルを行き来するワークです。

妻と夫をそれぞれ「妻の国」「夫の国」というように、国のメタファー(比喩)を使ってまるで海外旅行をするようにお互いの国を行き来します。そしてお互いの国は全くの異なる文化を持つ「異国」と捉えて、お互いの価値観や大切にしているものに好奇心を持って探検します。最後には、「私たちの国」という第三国に訪れ、妻の国でも、夫の国でもどちらでもない場所で、お互いの価値観や大事にしたい文化の中で輸入したいものを選び、全くの新しい「私たちの国」を創っていくのです。

この体験は、ドリーミングやエッセンスレベルを行き来して、自分という国がいったいどんな国なのかということを気づかせてくれます。

そして、パートナーの好みの味、趣味、などは勿論知らないハズはないのですが、それ以上に大事にしている価値観や目に見えないものを共有することができます。そして、お互いのことを尊重したまま、どちらかに合わせ、どちらかが我慢をするということなく、2人で一緒にそこからクリエイトできるんだということを体感覚と共に味わいます。

実際に体験されたご夫婦は、

「この人のタイプはまぁ知ってはいたけど、自分とは全く違う。正直もっと○○な国かと思っていた…」

「わ、子供に依存しすぎていて、”自分”という国を久しぶりに思い出した」

などとお互いを再確認される部分が多くあります。

同時に、私とあなたの違いに気づくだけでなく、

「あぁ、2人の国というのは、そのどちらでもないのか。常に自分の国を基準にしていたな。だからいつも否定から入っていたな」

ということにも気づかれます。

結果的にお互いの価値観を大事にしながら、自分達のありたい姿を見出そうとすると、どちらか一方の解決案を取るという二元論ではないことがほとんどです。別れて暮らすけれど、子育ては一緒にしようという場合もあれば、一緒に暮らすけれど、お互い一人になる時間を確保しようとか、お互いが価値観を受け取り合い、そこから一緒に現実を作り出す方法は無限にあるのです。

勿論うまくいっている夫婦の場合なんかは、今年はこんなことしてみない?という2人でする新しいチャレンジが生まれてくる場合もあります。

夫婦は”違い”の象徴的な例ですが、親子であっても同様です。

システムコーチとして一言

私は自分自身が、子供を出産後に離婚し、子供が8歳の時に再婚をしました。

夫婦のどちらかが「べき論」にとらわれている時、それは役割としてとるべき行動のことを言っており、本当の願いや感情を分かち合う対話ができない時があります。自分のことを自分では自覚しづらい様に、自分たちの事は自分達ではなかなか見えません。

相手が変わることを求めている限り、相手は変わりません。そしてその構造を作り出しているのは自分自身です。それは時に自分の心がえぐられる程、耳の痛い話です。

だからこそ、システムコーチがいるんです。

最初はシステムコーチの力をかりながら除々に自分達を自覚していけるようになります。

関係性において、3つの現実レベルのそれぞれが共有されるほど、関係性は深くなると言われています。お互いの得意領域はどのレベルで、共有されていないレベルはどこなのか。それを自覚的に自分達で対話できるなら、それに越したことはありません。

私は「結婚をすること」以上に「自分達で関係性をアップデートし続けること」の方がずっと難しく、価値のあることのように思います。

ビジネスの現場であれば、冷静に相手の話を聴けるのに、パートナーになるとできない!というのも、当たり前なんですね。それだけ身近な相手であり、期待がある証拠です。どうでもいい相手になら、そんなに感情が揺さぶられることはありません。それだけ「夫婦のこと」は聖域のような大切な場所。私たちが出会わせて頂けるのは、そんな大切な場所に向き合う準備が整った、奇跡的なご夫婦なんです。時に別れを選ぶご夫婦もいます。移住をするご夫婦もいます。でもお2人がきちんと向き合って出した答えであれば、それはお2人にとってのベストだと思うのです。

全世界、70億人もいる中で、一緒になる運命になったパートナーとあなたの関係性もまた、唯一無二のシステム。withコロナの時代にある私たちは、今までの当たり前の「家族」をそろそろ見直して、忖度でも対立でもなく、夫婦として進化する機会にしてみませんか?


※最近企画している「これからの“家族の関係性”を話そう」というオンラインワークショップでは、まさにシステムコーチングのメガネを使って「家族」をみていきます。もし宜しければ是非覗いてみてください。
イベント申込みページ:https://crrgj20200625.peatix.com/

イベント申し込みページ

  • 土屋志帆

    • 土屋 志帆
    • CRR Global Japan合同会社トレーナー
    • ORSCC, PCC, CPCC

    続きを見る

    青山学院大学法学部卒業後、リクルートグループにて法人営業・マネジメントを経験後、人材紹介業を経験。その後コーアクティブ・コーチングに出会う。
    2013年CPCCを取得後は、人事・教育研修業務の傍ら、プロコーチとしてパラレルキャリアを開始。
    自ら新しい働き方を実践。その後、コーアクティブリーダーシップとシステムコーチングに出会い、関係性の質を醸成することが、結果に影響を及ぼすことを体感し、2017年に株式会社Co-leadersを設立。個人の変容を支援するコーチングやエグゼクティブ・コーチングのみならず、最近では「ティール型組織・自己組織化組織」など新たな組織の形を模索する、企業組織やNPO、スタートアップ企業に対してシステムコーチングや組織開発、リーダーシップ育成に携わっている。一方、家族関係についてもテーマを置き、自らの経験から血の繋がらない家族(ステップファミリー)や多様な家族のあり方を支援をしている。2018年PCCを取得。
    多様性社会の中で誰もが自分らしくイキイキと生き、職場や家族など大切な関係性の中でありのままでパワフルに活躍できる社会を願っている。

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