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社内コーチとしてORSCを導入して約10年。今、これまでにないくらい「チームの関係作り」の価値が語られ、求められていると感じています。今回はこの10年の経験をご紹介してみようと思います。

1. 人材育成部門の解けない問い

私は、2006年、それまでのキャリアを大きく転換し、人材育成部門に社内異動して15年が経ちます。そして、この春からCRR Global Japanのファカルティとしてパラレルキャリアを始めております。

 人材育成部門に従事し、主に階層別研修(新入社員研修からマネジャー研修まで)を担当する中で、いくつか解けない問いを持ちました。

問い1:人材育成部門の施策「研修」は、ビジネスの成果につながっているのか?

「研修」で受講者の意識、知識、スキルを向上させたとしても、その人の仕事現場における行動変容につながるのか?さらに、そこの行動がビジネスのパフォーマンスにつながっているか?それをだれが評価するのか?評価の仕組みは適正なのか?

問い2:自身の未来を描くだけではマネジャーたちはエンジンがかからない?

マネジャーの個人コーチングを行う中で、コーチングを部下に使うのは、効果的だと思うが、自分の成長には、そんなに時間かけてくれなくていいですよ、というマネジャーたちがいる。彼らには、自分の本領発揮がエネルギー源にはならないのだろうか?
一方、どのマネジャーも部下の成長や、チームの成長については熱く語るのだが。

問い3:研修で意識変革を起こした受講者たちが、自組織に戻ると萎えてしまう?

数日の研修で、日常から引き離され、意識の変革を起こし、新たなスキルを手にし、さらに組織外の仲間を得て、目をキラキラさせて研修を終える受講者たち。職場に変えると、周囲は何も変わっていない。彼らが職場に波を起こすためには、どんなサポートが必要なのだろう?

2. システムコーチングとの出会い

2009年よりORSCを学び始め、そのフィロソフィーに共鳴しました。

「システムに属する全てのメンバーは、システムの声だ」
「システムは生まれながらにして知性があり、生み出す力と創造性にあふれている」 
RSIの5つの原則*より

「これこれ!」

もともと群れで生きる動物である人間には、集団的知性(Collective Intelligence)があると信じていたので、ORSCのフィロソフィーに、甚く同感しました。

自分のことを差し置いても部下のこと、チームのことを大事に思うマネジャー。一人一人は優秀なのにチームとしての相乗効果が出ていない組織。関係はいいんだけど自分はこの組織で成長できているんだろうかと問う若手社員。そんな、わが社において「これはいける!」とピンと来ました。

*「RSIの5原則」はシステムコーチが関係性システムに関わる時の原則として、CRR Global が提唱しています。 出典「ORSCプログラムマニュアル」

3. まず「研修」の中で始めてみた

 本来、ORSCのツールは、すでに関係のある組織やチームに対して、その関係性を明らかにし、その可能性を切り拓くために使います。それは、会社の役に立つ確信はあったものの、当時、所属する人財育成部にはそのような役割は無く、どこから手をつけようかと思案し、まずは自分の持ち場である階層別のリーダーシップ研修の中で取り入れることを画策しました。

狙いとしては、受講者が自組織の関係性の課題を明らかにし、周囲を巻き込むリーダーシップに役立てるというものでした。今考えると未熟で危なっかしいトライアルではあったものの、受講者たちが短時間で自チームに対して自覚的になり、俯瞰的な視野でリーダーの役割と行動を認識するという効果がありました。

ツールの例1:ペーパーコンステレーション
チームの中の人間関係を紙面上に描きだして俯瞰するツールです。

新任マネジャー研修で自組織の現状と半年後を並べて、自分はチームをどうしたいのか?そのために何ができるのか、考える導入として使いました。

効果:マネジャーは、個々人の人材育成と同時に、チームを作っていく役割があることに気づきます。人材育成に比べて現実味の沸きにくい組織作りの感覚を一瞬にしてイメージすることができます。

 ツールの例2:メタスキルの輪
自身の姿勢・あり方を意図的に決めることで周囲への影響力を発揮していくツールです。

リーダーシップ研修で、ご自身の影響力に意図的になってもらうために使いました。

効果:チームを巻き込んで良い成果を出すためには、自らの姿勢・あり方が重要であることに気づきます。多くの場合、研修ではチームを巻き込むためには、新たなコミュニケーションスキルが得られると思って参加されます。とは言え、周囲を巻き込み動機付けるためにはスキルだけではないことに気づきます。

 4. やがて、チームコーチングの本格稼働

 資格を取った2013年ころから、これまでの社内のマネジャーとのつながりから、うちのチームに来てくれという依頼が、来るようになりました。そこからは社内で評判が広がり、組織長の「手あげ」で、この9年間で300チーム以上のチームコーチングをしてきました。

どんなチームに効果があるかと聞かれることがよくあります。お答えするのは以下の通りです。

「どんなチームでも成果がでます。リーダーが本当にチームコーチングを導入しようと思っていれば。」

ある意味、チームコーチングはリーダーにとって「パンドラの箱」を開けるようなことかもしれません。リーダーにとって知りたくない現実が現れるかもしれないし、聞きたくないことを耳にするかもしれません。それでも変わりたいと覚悟を決めたリーダーのチームは、必ず変化が起きます。

次ページ>>5. チームコーチングの事例

    • 丸山 まゆみ
    • CRR Global Japan合同会社トレーナー
    • ORSCC, PCC, CPCC

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    中外製薬(株)に入社。営業本部にて企画・調整機能に従事。2006年、人財育成部門に社内異動を機に、コーアクティブコーチングを学び始める。階層別研修、マネジャーのコーチング、経営戦略浸透策を進める中、個人の能力以上に、組織力が成果のキーではないかと感じ、2010年、システムコーチングを学び始める。現場の要望に応える形で独自にシステムコーチングを社内に導入し、以降、300チーム以上のコーチングを行ってきている。組織の関係性の質の向上が成果につながることは、確信に変わった。「すべての革新は患者さんのために」という同社の成果に寄与している。 現在、中外製薬ビジネスソリューション㈱で人財開発プロフェッショナル職として、マネジャーの育成、現場のマネジャーと共に作る組織開発策を実践している。 また、社外では、㈱共創アカデミー主催ファシリテーション塾筆頭講師、総括マネジメント(2014~)、厚労省主催働き方改革セミナー講師(2017~19)、NPO法人セブン・ジェネレーションズ理事(2014~18)等、パラレルキャリアを実践している。 社内外を通して、すべての命は循環し、つながっていると信じ、ボーダーの無い世界を作るため自ら越境し続けている。

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