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WorldWorkers 22.03.03

パラスポーツからはじめるダイバーシティ/ORSCC貞岡裕達

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 執行役員
/ORSCC貞岡裕達

障がい者をはじめとした社会的弱者やマイノリティは、支援されるべき対象である。潜在的にそんな意識が誰しも宿っていないでしょうか。

パラアスリートをサポート

わたしがパラスポーツに携わるようになったきっかけは、所属するデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)に東京パラリンピックを目指す大学生だった池田樹生選手を紹介されたことでした。彼は先天性の障害で左手の指が三本、右足の膝下と右腕の肘から先が欠損している義足のランナーです。

池田選手がDACに入社後、ずっと忘れることなく記憶に残っているエピソードがあります。それはブロックを用いたワークショップを行った際の出来事でした。

わたしは、池田選手が集中して参加できるよう、彼をサポートするためのスタッフを周囲に配置し当日を迎えました。ところが、実際はわたしの想像をはるかに超える器用さでブロックを組み立て、当たり前のように他の社員と同じようにワークショップに参加していました。

その様子を目の当たりにした時、障がい者を弱者と見做し、助けなければならない存在と思い込んでいた自分がいたことに気付き、彼にとって当たり前の景色を一緒に見ることができていなかった事実に愕然としたことは、今でも脳裏に焼き付いています。

そんな池田選手とわたしの関係は、ORSCを通して、アスリートとコーチの関係性をコーチングすることからスタートし、トレーナー・マネージャーといった池田選手をサポートするチームに対するシステムコーチングの活用へと拡大していきました。当初はチーム内の関係性を円滑にし、競技に集中する環境を整えるためにメンバーそれぞれの役割を合意することで満足していました。

セッションの様子

しかし活動を続けるうちに、単にパラリンピックに出場することや記録を更新することだけでなく、このチーム自体が会社や社会でどのような役割やインパクトを与えてことができるのかという可能性に興味を抱くようになりました。

ORSCには「IDIC*(無限の組み合わせによる無限の多様性)」という言葉があります。わたしたちが現実に執着することなく好奇心を持ち込めば、チームや会社だけではないより大きな可能性が拡がるのではないかという手応えを持つようになりました。

IDIC*
Infinite Diversity in Infinite Combination:無限の組み合わせによる無限の多様性

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義足のランナーと共に走る日々は当たり前の光景

会社の枠を越えた活動として、わたしは、池田選手の競技コーチである三宅氏やロンドンオリンピック日本代表である舘野選手を中心に設立された一般社団法人Run for the Future(RFF)のサポートを行っています。わたし自身もRFFが掲げる「人々の可能性を応援する」というビジョンに共感し、ビジョンを実現するためにどのようなアクションを取ることができるのか、代表・コーチ・スタッフそれぞれの考えを明らかにし、方向性を共有するためシステムコーチとして関わっています。

なかでも、RFFが開催している小学生を中心とした陸上教室では、池田選手がコーチとしても参加しているのですが、この陸上教室ひとつをとっても、子供たちが走ることを通して人間形成をしていくことはもちろんのこと、義足のランナーと一緒に走っている日々は、やがて子供たちにとって当たり前の光景となり、将来かけがえのない財産になるものと信じています。

パラリンピックのその先

2021年東京パラリンピックではコロナ禍という逆境の中、様々な創意工夫を凝らし、困難を乗り越えて活躍するパラアスリートの姿に多くの感動と刺激を受けました。

障がい者は世界の人口の15%を占めており、人類の多様性の一部です。東京パラリンピックの直前には、世界に12億人いるといわれる障がい者への差別や偏見をなくすことを目的としたグローバルキャンペーン「WeThe15」もスタートし、もはやマイノリティとは言わせない機運の高まりを感じるものの、パラリンピックが開催される4年に一度しか大きなムーブメントが起こらないのではないかという個人的な想いもあります。

「ダイバーシティ」という言葉を聞くと、性別や人種、障がいの有無にフォーカスされがちですが、本当のダイバーシティは、誰しもが自分らしく生きることのできる社会であり、特別なことではないと感じています。

パラスポーツからはじめるダイバーシティ/ORSCC貞岡裕達

ORSCの智慧はそんな当たり前の日常を実現する助けになるのではないかと期待しています。是非これからはじまる北京パラリンピックも「当たり前の光景」として楽しんでみてください。

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